2010年4月14日水曜日

司法制度改革で就職難

即独をすること自体は問題ないでしょうけど、不安は大きいでしょう。
それに、事務所を開設、維持していくには多くの資金が必要ですよね。
司法修習生の給与はこれからなくなる方向ですし、お金の問題は結構厳しいかも。
試験に受かったその後の事を考えていくと、暗くなりますね。

現場リポート:司法制度改革で就職難 最初から独立、増える即独弁護士 /兵庫(4月10日 毎日新聞)

 司法制度改革による司法試験合格者増で受け入れ事務所が飽和状態となり、最初から独立する「即独(そくどく)弁護士」が全国的に増加している。県 内では09年度に初めて2人が即独。空白地域に事務所が開設されるなど期待は高いが、一方で資金面での支援が得られないなど課題も多い。ある弁護士事務所 長兼1年生弁護士の悪戦苦闘ぶりを追った。【吉川雄策】

 「やりたいことに取り組めるが、資金面が大変」。空白地域の西明石地域で即独した戎卓一(えびすたくいち)弁護士(30)。今年3月、JR西明石 駅前に「戎みなとまち法律事務所」(明石市小久保2)を開設した。同地域の出身で、4度目の挑戦で08年に合格。司法修習中は裁判官を目指したが、昨年9 月断念。約20カ所の弁護士事務所を回る就職活動をしたが条件が合わず、10月末に即独を決めた。

 3月には10件の法律相談を受けるなど、着実に仕事を増やしている。ただ、特定分野で専門知識が必要な場合、独学で知識を身に着けている。「消費 者金融への過払い金返還請求訴訟の場合、消費者金融側は古い契約は時効と主張するケースが最近多く、専門書を読み込むなどして準備書面を作成している」と 話す。

 弁護士は通常、司法修習を終えて弁護士事務所に所属し、先輩から業務の基本を学ぶ。だが政府は02年、司法制度改革の一環で、司法試験合格者を今 年までに年3000人に増やすことを閣議決定。合格者は90年の499人から、08年には2209人(旧司法試験合格者の144人を含む)に急増し、事務 所に所属できない新人弁護士が相次いでいる。

 こうした事情から、独立する弁護士も急増。日弁連の推計では、昨年度に卒業試験に合格した弁護士のうち、旧試験合格者で7人(昨年10月20日現在)、新試験合格者で48人(3月12日現在)が即独している。

◇資金、独学…多い苦労 地元住民からは歓迎

 しかし、資金面などで厳しい環境に置かれている。戎弁護士の場合も、事務所開設に300万円必要だったが、県弁護士会所属の弁護士でつくる協同組 合の融資は、既に同会に登録している弁護士が対象で、事務所開設と同時に登録するケースは対象外。仕方なく、金融機関から融資を受けた。

 業務も手探りが続く。戎弁護士は「自己流による業務の勉強では、将来的に弁護士として同期と差が付くのでは。弁護士は『成功報酬』が基本のため、当座の経費確保も課題」と不安を口にする。同会の乗鞍良彦会長も「事務所経営への助言など、検討を進めたい」と課題を認める。

 一方で、地域住民から「身近に相談できる弁護士が誕生したのはうれしい」との声もある。戎弁護士も「責任は重いが、何でもこなせる弁護士になりたい」と話す。

 従来の師弟関係から始まる弁護士生活と異なり、自らの力で新たな弁護士像を描こうとする即独弁護士は今後も増える見込みだ。司法を市民に身近にするために法曹界がどうサポートするのか、見守りたい。