2010年5月26日水曜日

過疎化の現状

医師免許のない人に診てもらってたって知った時の市民の気持ちを思うと…ゾッとしますね。いくら、善意での行為だとしても…人の生死を扱うかもしれないのに、そんな無責任なことできませんよ。ただの自己満足ですね。。。


◆公印偽造容疑で女を再逮捕 県立宮古病院・医師詐称事件(5月20日河北新報)
岩手県立宮古病院を舞台にした医師詐称事件で、宮古署は19日、公印偽造の疑いで、大阪市天王寺区上本町5丁目、無職一宮輝美容疑者(44)を再逮捕した。 逮捕容疑は今月上旬、事情を知らない県外の印鑑会社に依頼し、行使目的で厚生労働相と厚労省健康政策局長の公印を各1個偽造した疑い。宮古署によると、一宮容疑者は容疑を認めているという。 一宮容疑者は、宮古病院の勤務医になろうと、免許がないのに医師を名乗ったとして、医師法違反容疑で逮捕、送検された。盛岡地検は19日、同容疑については処分保留とし、公印偽造容疑と併せて事件の全体像を解明した上で、処分を決める方針。◎困窮の弱みにつけ込まれる/着任渇望、1年半見破れず 岩手県立宮古病院の勤務医になろうと医者と偽ったとして、医師法違反の疑いで大阪市の無職一宮輝美容疑者(44)が逮捕された事件は、地域医療関係者に大きな衝撃を与えた。宮古署は19日、公印偽造の疑いで一宮容疑者を再逮捕し、事件の解明を進めるが、動機は今もはっきりしないままだ。容疑者の不可解な言動とは裏腹に、事件でくっきりと、あらためて浮かんだのは、医師の確保に苦悩する地方の姿だった。(宮古支局・阪本直人、盛岡総局・菊間深哉、亀山貴裕)<動機つかめず> 「申し訳なかった。逮捕されてほっとした」と接見した弁護士に話しているという一宮容疑者。捜査関係者によると、動機については「宮古の医者になって、手助けしたかった」などとあやふやな供述を続けている。 「生活保護を受けていた」とも話しているが、金銭的に困っていながら病院への準備金の要求はなく、「赴任」の旅費も自費だった。弁護士は「金を得る目的で医師と名乗ったのではない」と語り、宮古署も動機を詰め切れていない。 捜査関係者によると、「循環器科医」と名乗った一宮容疑者は医学部に在籍した経験はなく、医師や看護師として医療機関に勤めた経歴もない。医師と交際したことがあったとされるが、勤務先として告げた大阪赤十字病院(大阪市)は自身の通院先だった。 一宮容疑者が「婚約者」と紹介し、一緒に医師として着任しようとした男性(38)も医師免許はなかった。医学知識は医師との交際や病院通いで得たとの見方が強い。 「婚約者」の男性は、宮古病院関係者との交渉の中で自分を医師と言っておらず、任意で事情を聴いていた宮古署は立件を見送った。事件を一宮容疑者が計画し、男性を巻き込んだとみている。 宮古病院はなぜ、1年半も一宮容疑者の「うそ」を見破れなかったのか。<常勤医が半減> 病院関係者によると、一宮容疑者が最初に連絡してきたのは2008年11月。テレビ番組で宮古病院の医師不足が放映された直後、循環器科の医師と称し、「何か手伝いができるかも」と電話をかけてきた。「心臓カテーテルができる」など医学用語を使い、交渉の電話やメールは計100回以上にも及んだ。 一方で、病院側が再三求めた医師免許の提出は拒み続けた。着任寸前の今月6日、ファクスで送信されてきた医師免許のコピーを病院関係者が確認し、あるはずの公印がなかったり、大臣名と局長名の筆跡が似ていたりしたことなどから、ようやく疑いを強めた。 複数の病院関係者の話を聞くと、一宮容疑者に期待し続けた背景が浮かび上がる。医師不足という厳しい現実だ。 宮古病院は大学医局からの派遣医が削減され、03年末に50人いた常勤医は今年4月に26人まで激減。循環器科の常勤医は07年7月から不在で、非常勤医の外来診療の応援が週5回あるものの、入院患者は受け入れていない。 岩手県医療局は06年9月に医師支援推進室を発足させたが、今月までに県内に着任した医師は26人にとどまる。「家族の都合もあり、過疎で医師不足の病院にはなかなか来てくれない」と推進室の川上裕二室長は嘆く。 一宮容疑者ひとりに振り回された宮古病院。「早く医師が来てほしい」。医師不足の一番の被害者である市民の願いが一段と高まっている。